11Oct2022
新型コロナワクチン副反応をテンソル分解でひも解く~「時間変化」に着目、副反応メカニズム解明へ前進~
新型コロナウイルスワクチンの副反応について、従来の研究では症状の頻度や強度にのみ焦点が当てられ、その時間的な変化は考慮されていませんでした。本研究では非負値テンソル因子分解を用いて、副反応の症状の種類・強度の時間変化を、4つの成分として抽出しました。4成分は異なる部位(局所性/全身性)・タイミングで生じる反応に対応しており、一括りに扱われてきた全身性の副反応において、成分間での異なる免疫学的なメカニズムの存在が示唆されました。また全身性の反応に対応する1成分の値のみが、ワクチン接種後の血清抗体価と強い正の相関を示しました。
本研究の成果は、副反応の免疫学的なメカニズムの解明や、より安全なワクチンの開発およびワクチン接種スキームの確立につながっていくことが期待されます。
本研究は千葉大学大学院医学研究院人工知能(AI)医学の川上英良教授、同アレルギー・臨床免疫学の池田啓講師、中島裕史教授、同救急集中治療医学の中田孝明教授らを中心とした研究グループにより実施され、2022年9⽉27⽇に「iScience」にオンラインで公開されました。